僕が沖縄に来た理由⑥ 〜 ベンチャー失敗しちゃったから 〜
こんにちは。Kunyです。
世間ではITバブルに突入、業界全体に勢いがあった頃のお話。
僕も含めて会社のメンバーは明るい未来を思い描いていました。
さらには、とある有名企業から2億円の出資を受けることもでき、次々にスタッフの数を増やしていったのです。
と、ここまでが前回でしたね。
そろそろ湿っぽく舵を切りますよ〜。
出資金2億円を得た僕たちは事業を拡大し、どんどん仕事を増やして、増やした仕事に合わせて新しく雇ったスタッフの数は30人になっていました。
そのまま売り上げアップ、利益増、と、トントン拍子にいけばよかったのだけれど・・・

トントントーンと行けばよかったのですが・・・
売り上げが上がらないのです。
ユーミンのコンサートなど大きなイベントが入る時は売り上げがたつけれど、その他では思うような売り上げが上がらない。社内に焦りがただよいはじめました。
世の中はまだ、動画やストリーミングの視聴環境が今ほど整っていませんでした。
これから少しずつ、配信環境やシステムを普及させていこうとなんとかつかまり立ちをして、次の目標はよちよち歩きだ、みたいな。
そんな若い時期だったから、自分たちが思い描いていたような多くの人たちの手元に、僕たちの仕事が実際には届けられていなかったんです。
普通にたくさんの人たちが気軽に動画サービスを観れる状況にはほど遠かったのですね。
例えばそんな世間と最新技術とのギャップも見越して、有料ではなくフリーでコンテンツを配信し、まずは無料で普及に努める、というアプローチができればよかったのですけど。
「いまは動画配信の裾野を広げている段階なんです。だから無料で配信します」
とかいって強気でさらなる出資を募れたんだろうけれど。
「大丈夫です。有料にするのは今じゃないんです。まずは無料から。だから資金が必要なんです!」
って言えたんだけど。
そんな回顧のタラレバもむなしく。
足元がふらついていることにも気づかないままの僕たちは、最先端を突っ走っている誇りと、IPO(株式公開)で一気に飛んでしまおうとギラついた刺激に夢中になっていて、浮ついていました。
地に足がついていなかった。どこか空(くう)に浮かんでいた。
それで周囲におかまいなしに突き進みふと気づけば、周りがシーンとしている。
自分たちの後ろには、お客さんがいなかった。
お客さんがついてこれなかった、じゃなくて、お客さんを僕たちの車に乗せようと減速していなかった。
ドアを開けて早く乗りなよ!と声をかけながら時速100kmで飛ばしていたようなもんです。
乗れるわけない。
ってか、ついてこれるわけない。
今思い返せば動画配信サービス展開の「時期が早かった」のかもしれません。
いや、違う。
「お客さん目線に立てていなかった」
それがうまくいかなかった大きな原因だったのだと思います。
お客さんの状況も気にせずに
「ね、これすごいでしょ」「すごい技術なんですよ」
と先頭を突っ走った結果、売り上げは上がらずジリジリと資金だけが尽きていく事態になりました。
それで株主からも突き上げられて、八方塞がりな状況。
自分で自分のケツを拭けなくなってきた。
本業が儲かっていないまま他の事業に手を出したりとフラフラして、地に足がつかない感じが2年くらい続き、ついには会社を解散するか、30名のスタッフをリストラするかの段階にまできてしまいました。
結局どうなったかというと・・・
制作チームは売り上げがあったのでそのまま残し、ストリーミング部門とシステム部門は解散に。
大勢のスタッフを解雇するにあたり、役員だけが残っていても示しがつかない。
ストリーミング部門長だった僕も、責任を取って辞めることになりました。
湿っぽいまま次回に続く・・・
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