「人に頼る力」を身につけよう③
今日のブログは前回の、
「人に頼る力を、身につけよう②」の続きです。
僕はかつて、どんなに辛くても
他人に頼るのが皆無な人間でした。
感情を殺して、というか感情に分厚いフタをして
痛みを感じないようにして、
どんなにしんどい状況でも一人で乗り越えてきました。
それが良しだと、信じていたんです。
だから、なおさら、人に頼るのが怖かった。
まして、一度「自分でやります」と言い放っていたことを
前言撤回して、ギブアップするわけです。
怖いし、痛い。
でも、状況は自分一人の力ではどうにもならないところまで悪化していました。
社長室に通された僕は、
とうとうハラを括って、社長に伝えました。
自分でやると言って契約を解約した会計処理が
正直全然できていないこと。
これからもできそうにないこと。
正直にギブアップです、と伝えました。
出来ません。すみません、と。
ギブアップしたら、楽になれた
自分の窮状を伝えながら、僕は
社長に
それ見たことか、って反応をされると思っていました。
社長は、事情を知るさっきの事務員さんを呼びました。
そして彼女から今までの事情を聞き、
「実際どうなの?うちでやったほうがよさそう?」
と彼女に尋ねました。
その事務員のおばちゃんはいつも
おっとり、フンワカしたしゃべり方をする女性です。
「あ〜どーも〜。おおたかさ〜ん」
みたいな。
その事務員さんが、
今まで見たことないキリッとした凛々しい表情で
社長に言いました。
「はい。こっちでやったほうがいいと思います」
「うん。わかった。じゃ、それで」
短く社長は答え、
「じゃ、〇〇と△△ね、手続きの方しておいてもらえる?」
と、彼女に言い、
契約を再び取り交わすことで発生する追加費用が発生しないよう、
僕にとって負担がかからない方法など、
細かな指示を一通りしていました。
指示を受けた事務員さんが社長室を出ていった後、
僕の方に向き直ると、
「じゃ、これで心配することなくなったね。最近どう?」
と普通の会話を始めたんです。
僕は、
罵声を浴びせられても仕方ないと思っていました。
だからいわんこっちゃないと。
それ見たことか、と。
自分でやるって言って引き揚げたくせに
大変になった今頃、なに言ってるんだ、って。
でも違いました。
社長はそんなことを一言も言わなかったんです。
普通に、何事もなかったかのように段取りして
「で、最近どうなの?」
と、言われたとき・・・
もしこの人に、なにか困ったことがあったら
何がなんでも助けよう
喜んで一肌脱ごう
そう、心から思ったんです。
2012年の冬のことでした。
今まで人に頼らずに肩ひじ張って、
つっぱってきた自分が
やさしく崩れていくような気がしました。
(いま思い出しても涙が出てきます)
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